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「同じ悩みを抱える選手たちの希望に」福岡ソフトバンクホークス島袋 洋奨投手×群馬ダイヤモンドペガサス北方 悠誠投手 ウイニングボール 代表松尾 祐介

同じ悩み「イップス」との戦い。

ー 順調に野球人生を歩んでこられたかお二人ですが、その後「イップス」という共通の悩みと戦ってこられた経験をお持ちです。まずは島袋選手から、そのことについてお聞きしたいと思うのですが、悩まされたのは大学の頃ですか?

島袋 はい、大学3年秋ですね。ある試合でバックネットに当たるくらいの暴投をしてしまったんです。今までそんなことはなかったのに…その1球のせいで腕を振って投げるのが怖くなってしまいました。ストライクが入らず四球で走者がたまってしまい…異変に気付いた捕手が、「腕を振って直球を投げてこい!」とサインを出してくれたのですが、その次の球がまたバックネットに当たってしまいました。
結局その試合は暴投だけで3失点してしまい、それ以降は頭が混乱してしまってまともに投げられなかったです。中1日でもう一度、登板のチャンスをもらっても状況は変わりませんでした。

— 「たった1球」で調子が大きく狂わされてしまったということですね…ご自身でどのように修正しようと取り組まれていたのですか?

島袋 オフの期間に戻そうと思ったんですが、身体に変な感覚が残ってしまってキャッチボールすらまともにできない。「また変なボールを投げちゃうんじゃないか」という恐怖感があったからだと思います。最初にバックネットに当ててしまったボールを「まあ、こんなこともあるか」と受け入れられればよかったのかもしれないけど、「あれ、今のは何だろう…」と引きずってしまったのが良くなかったのかもしれません。今まで経験したこともなかったので、解決する方法もわからなかったです。

北方 わかるわ…

— 北方選手はどういう経緯だったのですか?

北方 僕はプロ入り3年目(2014年)ですね。その前年のオフに台湾のウインターリーグで結果を出し、春季キャンプでは一軍でスタートしたんです。しかし、そこでなかなか調子が上がらず、とにかく腕を振って投げようとしているうちにフォームのバランスが悪くなって、制球が乱れてしまったんです。その後は二軍で調整することになり、制球面の課題を克服しようと、首脳陣からの打診もあってサイドスローにも挑戦しました。しかし、サイドスローは自分のものにできず、元のフォームに戻そうとしたんですが、もう以前の感覚がわからなくなってしまい、どうやって投げればいいかわからないという状態でした。

— 元の状態に戻すために色々と試されたと思うのですが

島袋 OBをはじめ、色々な方が助言をくださって、取り入れようとするんですけどなかなか理解できず苦しみましたね。すごくありがたいことなんですけど…

北方 僕も色々な方法を試しました。どうすればいいかわからなかったので、当時は何にでも頼るしかありませんでした。あれこれ試して、ダメだったら次…みたいな形で。

— お二人とも、期待されているからこそ周りもどうにかしたいとアドバイスを送られていたんでしょうね。そんな中で、島袋選手はウイニングボールと出会うことになります。

島袋 はい、大学のチームメイトの紹介で。

— レッスンを受けようと決意された時のことは覚えていますか?

島袋 はい、当時は「助けてくれるなら誰でもいい、どんな手段でもいい」と思っていました。

— レッスンを受けてみて、「これで良くなる」という手応えはありましたか?

島袋 実際にレッスンをやってみても、何をやっているのか最初はよくわからなかったです。でも自分の中にすぐ変化が見られたので、何かのキッカケにはなるかなとは考えていました。

— 松尾代表は、島袋選手の状態を見て「こうすれば治せる」というのはわかっていたのですか?

松尾 ある程度、悪い部分はわかっていました。ただ、それが彼の身体にどの程度しみついてしまっているかがポイントだなと思っていました。でも2日レッスンをやっただけで球速が戻りましたね。直球が130キロ台にまで落ちていたのが、146キロまで上がりました。

島袋 そのおかげでリーグ戦で1年ぶりに勝利投手にもなれました。

松尾 試合中にこっそりアドバイスしたこともあったね、ベンチ前でキャッチボールしている間に(笑) 

島袋 ありましたね。でも、それまでは試合中におかしくなったら修正ができなかったのに、アドバイスを聞いて戻せるようになっていました。自分の身体と会話しながら、修正する方法が身についていたんだなと実感しました。

— ドラフトの直前に復調の兆しが見られてよかったですね

島袋 はい、本当によかったです。4年の9月くらいからレッスンを受け始めて、すぐに結果を出すことができました。

— 松尾代表のレッスンは他とは違うものですか?

島袋 違いますね。だから最初は「どういうことやるの?きついの?」と少し不安もありました。レッスンを受けた後でも言葉で説明するのは難しいですね。だから、(北方)悠誠にパワーライントレーニングを説明するときも「やってみないとわからない」としか言えなかった(笑)

松尾 それは仕方ないよね。で、その紹介を受けた北方くんが周りに説明するときはどうやって話してるの?

北方 「やってみないとわからない」ですね(笑) ずっと気になってたんですよ。島袋さん、変なことやってるなって。キャッチボールの前にも体操みたいなのを始めるし。「出た、シマブクロ体操!」なんてからかったりもしていました(笑)

— そんな北方選手も今はウイニングボールでレッスンを

北方 やっぱり、同じ悩みを持っていた島袋さんがどんどん調子を取り戻していったのを近くで見ていたので…どうやって変わっていったのかすごく気になっていました。松尾さんのレッスンは、今までと考え方が全然違うので、いい時の身体の使い方を少しずつ思い出させてくれています。今まで調子が悪い時は不安な気持ちもあったので色々な方の話を取り入れてきたけど、今は松尾さんの教えに絞り込んで集中して取り組んでいきたいと思っています。

— ご自身の中で成果は見えていますか?

北方 はい、このオフに一緒に自主トレをしていた元チームメイトの高城(俊人)選手にボールを受けてもらうと「どんどん良くなってる」と言ってもらえましたし、課題のコントロールも改善してきているという手応えがあります。